堆肥づくりに活躍する微生物



堆肥づくりに活躍する微生物 土のなかにすんでいる微生物は、土壌に含まれる有機物を無機物に分解しています。このはたらきのおかげで、植物は根から養分を吸収して生長することができます。堆肥は、植物にとって必要不可欠な微生物たちの餌となる有機物をバランスよく含んでいます。小さじ1杯くらいの量に数億から数十億もの微生物がいます。

堆肥づくりに適しているのは、好気性微生物と呼ばれる酸素を好む微生物たちです。堆肥になる材料に十分な酸素と適度な湿気を与え、暖かい状態を保つようにすると、好気性の微生物にとって良い環境となり、どんどん有機物を分解します。

ワラや家畜の糞などの有機物源は、そのまま土にいれても微生物が急激にふえ過ぎて養分を使いはたしたり、病原菌や有害物質が発生したり、植物の生育にはむしろ害となってしまいます。よい堆肥づくりの第一歩は、微生物のなかの糸状菌(カビ)が食べやすい炭水化物やタンパク質を分解します。微生物の活発な働きによって堆肥の温度が40度以上になると、好熱細菌の放線菌などが現れ、やや分解しにくい炭水化物を食べます。最終的にいろいろなカビや細菌が現れて安定した有機物となったものが完熟堆肥となります。

土は、微生物が生きていく為に必要なものをすべて含んでいます。といっても、微生物の餌となる有機物はたいてい不足していて、微生物はふえることもほとんどできずに生きています。ときどき枯れた植物などの有機物が土のなかに入ってくると急速にふえ、そして餌がなくなるとまたふえることをやめてしまいます。土のなかで微生物たちはそれぞれ違った役割を持って助け合ったり、ときには同じ仕事で競い合ったり、食ったり食われたりして生きています。