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6度目の世界記録を達成したブルガリのコンプリケーション


大胆かつ巧妙に組み込んだクロノグラフ機構
ブルガリは2000年以降、ムーブメントパーツやケース、ダイヤルなど時計製造に関するすべての垂直統合を図ってきた。“ウォッチメーカー”ブルガリの、生産能力と技術力の高さは、今やスイスでも屈指。その実力は近年、主に薄型ムーブメントに注がれてきた。まず2014年、手巻きトゥールビヨンで世界最薄を達成。以降、次々と世界最薄を実現し、2020年には、この自動巻きトゥールビヨン クロノグラフで 6度目の世界最薄記録を樹立した。ケース厚7.4㎜、ムーブメント厚3.5㎜と、ともに極薄である。

ダイヤルは2つのカウンターを除きフルオープン。6時位置のトゥールビヨンは、ブリッジで支えられている。薄さを求めるなら、ブリッジがないフライングトゥールビヨンが有利だ。しかし、ダイヤル側にブリッジを敢えて用いた理由は、裏側を見ると分かる。トゥールビヨンの背面には、V字型パーツが重なっている。V字の一端がコラムホイールと接続していることから分かるように、これはクロノグラフ用のレバーである。パネライ時計 ルミノールその動きがトゥールビヨンに悪影響を与えないよう、ダイヤル側のブリッジで頑強に支えたのだ。裏側中央部には、秒・分のリセットハンマーが横たわる。クラッチは、薄くコンパクトにできるスイングピニオンによる水平クラッチ式。実に巧妙にトゥールビヨンとクロノグラフを組み合わせながら薄型化が図られた。

2つのボタンが備わるが、クロノグラフはワンプッシュ式。下側のボタンはリューズの巻き上げ・針合わせの切り替え用だ。これは既存の技術の流用。ペリフェラルローターで薄型化を図る際、リューズの切り替え機構をボタン式にしてオフセットさせ、さらに厚さを削ったのだ。ダイヤル4時位置には、コラムホイールにも似た切り替え車が見える。

こうした秀逸な工夫を凝らした設計に加え、自社製パーツの高い加工精度が、6度目となる世界最薄記録樹立を支える。

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